サラリーマン時代の自分の営業力を過信して失敗してしまう独立開業者を多く見ました。サラリーマン時代の営業力は、あくまでも会社の看板があり、その力であることを知るべきです。その営業力は、自分が考えている以上に会社の力によるところが大きいのです。独立して初めて知ることは、こんなに自分は営業力がなかったのかということです。顧客先はなぜ自分と取引してくれるのかを、しっかりと分析・理解してみてください。
お客様が商品・役務を発注するときの判断基準はいろいろあるでしょうが、まずは、品質・価格・アフターサービス・業歴・企業規模などで取引先を決定していくのではないでしょうか。自分の営業力・自分に対する信頼で、営業成績が上がっていると錯覚してしまいがちです。なぜそんなに自分に営業力があるのだろうかと今一度、冷静に考えてみる必要があります。
そして、取引先は、さらに独立するあなたに拍車をかけます。在職中の取引先に独立の話をもちかけると、嫌な顔はしないものです。退職後に独立開業したあかつきには応援するし、仕事も回すなどと賛成してくれる場合が多いのです。しかし、そんな甘い言葉も会社の看板、担当者に好かれたい取引先のお世辞と考えなければなりません。自分が取引先になった場合を考えて、自分だったらと想像してみてください。その取引先の人の気持ちもわかると思います。
在職中の取引先からの発注を予定して開業したが、その後、仕事もさっぱりで約束が違うと悔しがっても始まりません。もし、その取引先が約束通りに仕事をくれたとしたら、それは儲けもの・オマケだと考えてください。
まず、在職中の自分の営業力を値引きして考えることです。そして、取引先からの受注の約束は、あまり信じないことです。営業力のない者は、人の何倍も営業をかけなければなりません。何倍も営業をする覚悟が独立開業時には特に必要なのです。他力本願・想像・想定は禁物です。もちろん未来を予測することは大切なことです。それは、想像・想定という根拠のないものではなく、裏付けのある予測が必要なのです。