夢と目標は大きく高くあるべきでしょうが、可能性のある現実を直視した目標を設定すべきでしょう。可能性のない過大な目標は、達成率が低く自己嫌悪を残すだけになってしまいます。現実を直視して決定した目標は、達成が可能ですから意欲を増進させ、達成結果によってさらなる意欲と喜びが得られます。
では、どのようにして目標を決定したらよいでしょうか。
一例を挙げてみます。例えば、パン屋さんを開業する場合の売り上げ目標の決め方を考えてみましょう。①まず初めに出店予定地域の一世帯当たりの所得額を総務省の家計調査により求めます。②次に、その地域の所得層のパンの消費額を求めます。③続いて商圏を仮に半径1,000mに設定して、その範囲の世帯数を把握します。④最後に、その商圏内の競合店の店舗数・面積を調べます。以上の資料をもとに売上目標を決定するのです。
その売上目標の算式を考えてみましょう。算式は、下記のようになります。
月額売上目標 = 商圏内の世帯数×1世帯の月額パン消費額 × 当店店舗面積 × 0.6 ※
競合店の合計店舗面積+当店店舗面積
この数値が、開業当初の月額売上目標金額です。「0.6」を乗じた理由は、開業当初は競合店に経営能力などで劣ることと、商圏内から外部への流失率を考えて四割引きして目標を設定したためです。開業後の経過により「0.6」からこの数値を上げていってください。一年後は、地域・条件によって異なりますが、この数値を「0.75」くらいにしてみてください。その結果、「月額売上目標」と「実際の売上額」が同数になったとき、当店の経営能力は、標準的数値と考えてください。
その後の目標設定は、実際達成できた上記の算式の「※」の数値を1.5くらいまで高めていってください。実際の数値が達成できたとすれば、経営能力抜群ということになります。
今回は、店舗面積により按分数値を出しましたが、店舗の販売員数により計算する方法もあります。両方を算出してみるのもよいと思います。
単純に計算して売上目標を設定しましたが、この数値は根拠のある数値で須ので、達成可能だと思います。何の根拠もなく、ドンブリ勘定で設定した目標は虚しさだけが残るでしょう。この数値に表されない修正要素は数知れませんが、開業時の目標数値の設定方法としては、一応これでよいと思います。出店予定商圏内の諸々の環境・事情により調整・修正してみてください。この方法も一つの目標設定方法でしかありませんが簡便法として、とても便利ですので実践してみてください。