経理に強い銀行マンが独立開業して失敗をする話をよく耳にします。数字ばかりいじくり回して営業の実践が二の次になるからだと思います。利益計画・経営計画ももちろん大切ですが、しょせん目標値であり予測値なのです。独立開業時は、泥まみれになり必死になって営業・経費の削減・交流会の参加等をしなければ成功はありえません。
商工会議所・経営セミナーに参加して安心するのではなく、足を棒にして今の売上を上げることです。理想と現実は乖離しています。独立開業時の地獄の戦いを知らない者は、「利益計画や経営計画をキチっと立てなければ成功はない」というでしょう。まったくその通りですが、「数字」にとらわれすぎても成功は遠のいてしまいます。
まず今の、明日の売上を考えてください。そして、二の次に「数字」の管理を考えてください。「数字」の管理を無視すれば、やはり倒産するリスクは増大します。
利益計画のとおり、経営計画のとおりにいかないのが常で、計画通りになることのほうがまれだと思います。計画通りになった、ならないで一喜一憂してはいけません。ただ、前進あるのみです。
ある経営者から、経費のどこをどのくらい節約すればよいでしょうかと、相談を受けたことがありますが、「すべての経費を詰めてください」「どの経費をどのくらい詰めるとか詰めないの問題ではありません」「独立開業時はすべての経費を可能な限り詰めるのです」とお話差し上げたことがあります。
1円でも売り上げを伸ばし、1円の経費でも詰めるのが、独立開業時の経費なのです。机上の経営と実践経営の相違には大きなものがあります。「数字」の管理の大切さを自覚したうえで、「数字」に振り回されないように進んでください。